1.バックアップファイルを記録する媒体には大容量の記憶装置(PD等)が便利です。
PDは公称で640MBの記憶容量をもっています。これをドライブスペース3で
圧縮して使用すると倍の1.2GB近い容量となります。
ほとんどのバックアップには十分です。
現在、HDDの容量は3.7GB有ります。
これをPD2枚(圧縮して計約2.4GB)にバックアップできています。
(注記)圧縮するかしないかは希望する記憶容量で決めます。
圧縮しなくてもよいですし、またWindows95標準のダブルスペースで圧縮
してもよいのです。
2.バックアップの動作
Win95から起動します。
(1) 初め起動すると、全体の一括バックアップが自動的に行われます。
1GBをバックアップするには40分程度かかります。
(2) 2度目に起動すると、バックアップ側から実体にないファイルを消去後、
実体のファイルおよびフォルダのうち更新された新しいもののみバックアップ
コピーします。
前回バックアップ以後新しいプログラムをインストールしていないならば、
HDDの全容量が1GB程度でもバックアップに要する時間は10分程度です。
このように無駄がありませんから高速です。
3.バックアップ側の中身をHDDと完全に一致させるには2個のプログラムを使用します。
(1) MIRROR.EXE これはフリーソフトです。NiftyServe の FGALTLB にあります。
バックアップ側から、実体側にないファイルを消去するために使用します。
MIRROR V1.11 は MS-DOS 用ですが、Win95のDOS窓で使用します。
(2) XCOPY.EXE これはWin95に標準で備わっています。ロングファイル名
に対応した、DOS窓で動作するプログラムです。
実体のファイルおよびフォルダをバックアップ側と比較し、更新されているものを
バックアップコピーします。
Win95のDOS窓で XCOPY.EXE を起動すると、実際には XCOPY32.EXE が
動作するようです。
4.バックアップを行うバッチプログラム
下に記したように非常に簡単なものとなっています。実行順番とパラメータ指定は
変えないで下さい。それぞれに重要な意味があります。
ただし、ドライブ名は自分のものに変更して下さい。
これだけで、HDDのまるごとバックアップを完璧に実行します。
下記では、HDDのドライブをC、Dとしました。
バックアップ側のドライブはPDでドライブ名はHです。Hの中にフォルダ
CとDを作って、この中へバックアップしています。
多くのドライブがある場合は、順番を崩さないように追加して下さい。
<バックアップバッチ:XBACKUP.BAT>
@echo OFF
echo バックアップ先から、不要ファイルを削除しています。
MIRROR C:\ H:\C -A -S -N -M
MIRROR D:\ H:\D -A -S -N -M
echo HDDをバックアップ中...
XCOPY C:\ H:\C /C /D /E /I /H /K /Q /R /Y
XCOPY D:\ H:\D /C /D /E /I /H /K /Q /R /Y
Win95から起動しますと、使用中のファイルはコピーできません。
アプリケーションのみ停止しておけば、バックアップに支障はありません。
SWAPファイル等はコピーできませんが、コピーしない方が良いので
気にしないで下さい。
5.バックアップバッチ XBACKUP.BAT へのショートカットを作って下さい。
ここで、このショートカットの
プロパティ→プログラム→詳細設定で
”MS-DOS プログラムにWindowsを検出させない”のチェックを外して下さい。
これがチェックされていると、LFN(ロングファイル名)情報がコピー
できません。
このショートカットをダブルクリックすればバックアップが始まります。
6.ファイルを完璧に復元するためには、通常使うWin95の他に、
別ドライブにもう一つのWin95が必要です。Win98でも同様にできます。
もう一つのWin95は最小インストールを行ったものでよいのです。
通常のWin95はドライブCにできています。もう一つのWin95を
ドライブDに作ることを考えます。
まず、ドライブCをHDDやその他へバックアップしておきます。
こうしておけば、間違えても後で復旧できます。
自分自身をバックアップすることはできます。(しかしこの逆はできません。)
次に、ドライブDへ別のWin95をインストールします。
Win95のインストールはDOSから行った方が便利です。
・Win95起動ディスクから立ち上げた場合は、メモリが不足しますので
SETUP /is
と入力してインストールします。
これでも、メモリ不足ならば CONFIG.SYS の内容を修正する必要があります。
Win95 CDROMの内容をそのままHDDへコピーしておけばインストール
がやりやすくなります。
インストール先を D:\WIN95MIN 等の名前にすればOKです。
インストールでは最小インストールを選択すれば十分です。
ドライブDへのインストールに伴いドライブCのルートディレクトリのファイル
の一部が、変更されますので後で復旧が必要です。
途中でWin95起動FDを作っておいて下さい。
インストール終了後ドライブCの下記ファイルを、この起動FDへコピーして下さい。
・MSDOS.SYS
・CONFIG.SYS
・AUTOEXEC.BAT
起動FD内のCONFIG.SYS、AUTOEXEC.BAT、MSDOS.SYSをワードパッド等のテキストエディタ
で開き、内容をチェックしてドライブ名等を修正して下さい。
Cドライブ指定をDドライブのパスに修正します。
C → D
C:\ → D:\
C:\WINDOWS → D:\WIN95MIN
-----MSDOS.SYS-------
[Paths]
WinDir=D:\WIN95MIN
WinBootDir=D:\WIN95MIN
HostWinBootDrv=A
-----以後省略-----------
-----CONFIG.SYS-------
DEVICE=A:\HIMEM.SYS /TESTMEM:OFF
DEVICE=A:\EMM386.EXE NOEMS
SHELL=D:\COMMAND.COM D:\ /E:1024 /P
FILES=60
dos=high,umb
stacks=9,256
DEVICEHigh=BILING.SYS
DEVICEHigh=JFONT.SYS /P=A:\
DEVICEHigh=JDISP.SYS
DEVICEHigh=JKEYB.SYS /106 A:\JKEYBRD.SYS
devicehigh=ansi.sys
-----以後省略-----------
こうしてできたWin95起動FDを挿入してブートすると、ドライブDからWin95
が立ち上がります。
実は、Dドライブへインストールすると、新しくできたアイコンがCドライブの情報
を受け継ぐことがあります。これではまずいので、DドライブからWin95が立ち
上がった後で、アイコンに定義されたプログラムのドライブ名称、ディレクトリ名称
を確認/変更します。
また、Dドライブから起動したシステムで「REGEDIT」を起動して C:\WINDOWS
という名称を検索し、D:\WIN95MIN にすべて変更します。
この修正時、上下の行を見てCドライブ指定をDドライブ指定に変更します。
Dへのインストールにより、Cドライブのルートにあるファイルの内容が変ってしまいます。
念のために、Cドライブの全ファイル(最低でもルートディレクトリィのファイル)を
すべて復旧(DドライブのWin95からシステムを起動後)して下さい。
7.HDDを復元する
(1) まず、HDDが正常でないなら正常にして下さい。
・HDからのブート不良の場合は、”Win95起動”FDからブート後下記コマンドを実行
SYS A: C:
FDISK /MBR
・SCANDISK を行う
・HDDのフォーマットを行う
(2) ドライブD”Win95起動FD”を挿入してブートして下さい。
ドライブDからWin95が立ち上がります。
(3) 下記のドライブC復元バッチ XREST1.BAT を実行させて下さい。
このバッチプログラムも上記5.と同じようにショートカットを作っておいて下さい。
<ドライブC復元バッチ:XREST1.BAT>
@echo OFF
echo ドライブCを復元中...
XCOPY H:\C C:\ /C /E /I /H /K /Q /R /Y
(4) これでドライブCが完全に元に戻りましたから、FDを抜いてコンピュータを
再起動して下さい。
F8キーを連打しメニューが表示されたら「Safe mode」を選んで下さい。
初めの1回はSafe modeで起動してシステムの矛盾を除去します。
2回目からは普通に起動できるはずです。しかしハングすることもたまにあります。
ハングしたら強制的に再起動して下さい。以後は正常に起動します。
(補足)CドライブでWindowsが動作中にCドライブ(自分自身)をバックアップできます。
しかし、この場合データに1部矛盾が生じることがあります。
このため最初の1回のみSafe modeで起動した方が確実です。
DドライブにインストールしたWindowsでCドライブのWindowsをバックアップ
した場合は、CドライブのWindowsは終了していて矛盾が無くなっていますので
Safe modeでの起動は不要です。
(5) さらに、ドライブDも復元したいなら、ドライブCからブート後に
復元バッチ XREST2.BAT を実行させて下さい。
これでドライブDも復帰しました。
<ドライブD復元バッチ:XREST2.BAT>
@echo OFF
echo ドライブDを復元中...
XCOPY H:\D D:\ /C /E /I /H /K /Q /R /Y